イザナギとイザナミの国生み(ウィキメディアより)
【目 次】
イザナギとイザナミによる国生み
別天神と神世七代
大地は、水に浮く脂のように漂っていた神代。男神でも女神でもない五柱の神(独神)が現れ、すぐに隠れました。この五柱の神々を別天神(ことあまつかみ)といいます。
その後、二柱の独神が、さらに男神と女神の対で5組が出現しました。対の神は二柱で「一代」と数えます。その最後の一代が、イザナギとイザナミ。これらの神々は神世七代(かみよのななお)と呼ばれます。
また、別天神と神世七代の神々を天つ神と言い、住んでいる天上界は高天原(たかまのはら)と呼ばれます。
※【神の数え方】一柱(ひとはしら)、二柱(ふたはしら)、三柱(みはしら)というように「柱」を使います。
イザナギとイザナミの国生み
「この漂っているような海を固め、治めよ」
高天原の天つ神はイザナギとイザナミに美しい玉で飾られた天の沼矛(あめのぬほこ)を与え、国生みの委任をします。二柱の神は、天の浮橋に立つと天の沼矛を海に入れ、
「こおろ、こおろ」
とかき混ぜ、矛を引き上げました。すると、矛の先から海水がしたたり、塩が固まって島になりました。これが、淤能碁呂島(おのごろしま:淡路島か近くの島)です。
このように最初の島を作ると、この島にイザナギとイザナミは天つ神と心を通わせるために、天之御柱(あめのみはしら)を立て、八尋殿(やひろどの)という神殿を建てました。
一息ついたところで、イザナギは自分の下半身に不可解な物がぶら下がっているのに気づき、イザナミに尋ねます。
「あなたの体はどうなっている?」
「私の体はすでに完成していると思いますが、何か足りず一箇所だけくぼんだ裂け目に穴があります」
「私の体もすでに完成しているのだが、何かが余って一箇所だけ出っ張っている。そこでだが、私の出っ張っている物をあなたのくぼんだ裂け目の穴に挿し入れて、国を生むのはどうだろうか」
イザナギの提案に、イザナミはうなずきました。
天之御柱の周りをイザナギは左回りに、イザナミは右回りに周り、出会うとイザナミが言いました。
「まあ、あなたは、なんていい男なのでしょう」
「おお、あなたも、なんていい女だろう」
言魂の力
良い言葉を話すと幸せになり、悪い言葉を話すと不幸になると言われます。
「先ほど、女のあなたが先に言ったのは良くなかった」
とイザナギは言いましが、イザナミと一緒に床に入りました。すると、生まれたのが、手も足もない水蛭子(ひるこ)でした。二柱の神は悲しんで、その子を葦の船で流してしまいました。次に生まれたのも、泡のような不完全な淡島でした。
そこで、イザナギとイザナミは高天原に帰り、天つ神の支持を受けることにしました。鹿の肩の骨を焼いて占うと(太占 「 ふとまに」といいます)、やはり女神が先に声をかけたのが原因とわかりました。二柱の神は「淤能碁呂島(おのごろしま)」に帰り、再び天之御柱の周りを回り、今度はイザナギが先に声をかけます。
「あなたは、なんていい女だろう」
「まあ、あなたも、なんていい男なのでしょう」
このとき、ちょっとした失敗もあり、やり直して日本が誕生しました。
大八島国をはじめとする日本の誕生
こうして、淡路島、四国、島根県の隠岐諸島、九州、長崎県の壱岐島、長崎県の対馬、佐渡島、畿内地方が次々に生まれます。この八つの島を「大八島国(おおやしまのくに)」といいます。さらに、吉備児島、小豆島、大島、女島、知訶島(五島列島)、両児島が生まれます。
こうして、イザナギとイザナミの「国生み」は終わったのです。この後、二柱の神は「神生み」にかかります。
※「古事記」が編纂された当時(712年)、大和朝廷ではまだ関東や北海道は認識されていませんでした。
ご祭神イザナギとイザナミとご利益
このイザナギとイザナミを祀っている代表的な神社が、埼玉県秩父にある三峯神社です。
【ご祭神】イザナギノミコト、イザナミノミコト
【ご利益】開運成就、夫婦円満、厄除け一般