日光東照宮の薬師堂、通称「鳴き龍」は、その不思議な鳴き声で多くの観光客を魅了しています。
薬師堂の天井に描かれた龍の下で拍子木を叩くと、独特の"鳴き声"が響き渡り、訪れる人々を驚きと感動で包みます。
この現象は、フラッターエコーと呼ばれる音響効果によるもので、天井の構造や建築技術に隠された巧妙な工夫がその秘密です。
本記事では、この不思議な現象の仕組みを詳しく解説するとともに、実際の鳴き声を動画で体験できる情報もご紹介します。
【目 次】
鳴き龍の鳴き声を実際の音を動画でチェック
動画視聴時の注目ポイント
建物特有の凹凸である「むくり」を活用した天井構造が、この音響効果の鍵となっています。
特に注目すべきは、龍の顔の真下での音の反響です。普段では聞けない鈴の音のような響きがどのように生まれているかを意識しながら動画を視聴してみてください。
実際の鳴き声を聞く楽しさ
鳴き龍の音は、日光東照宮でしか体験できない特別な現象です。拍子木の音が建物内で複雑に反射し合い、まるで龍が本当に鳴いているかのような神秘的な感覚を与えてくれます。
この現象を動画で楽しむことは、現地を訪れる前の予習としても最適で、訪問時の体験をさらに深めてくれるでしょう。
薬師堂の天井画「鳴き龍」」
鳴き龍の鳴き声の仕組み=フラッターエコー現象
フラッターエコー現象とは?
鳴き龍現象の秘密は、薬師堂の天井構造にあります。天井には「むくり」と呼ばれる独特の凹凸が施されており、音が複雑に反射する仕組みが組み込まれています。
さらに、「鏡天井」と呼ばれる設計によって音が幾重にも跳ね返り、特定の周波数が強調されます。この高度な建築技術により、鳴き龍の独特な鳴き声が生まれています。また、天井の高さや角度も音響効果に大きな影響を与えています。
鳴き竜の原理
(前略)すなわち本地堂は木造で内陣の天井は鏡天井、床は漆塗りで共に音の反射がよく、特に天井には約6cmの‘‘むくり‘‘がつけられていて中央が上方へ湾曲しているために拍手すると天井と床の間に音が往復反射して長く響く。内陣正面は須称壇、左右と前面は格子で外気に接し反射はよくない。このため天井と床の間の往復復反射が目立ちこれが鳴き竜として聞かれるものである。「むくり」について理論的に知りたい方は
>>3018 日光東照宮の"鳴き竜"復元に関する調査研究
拍子木の音がどのように共鳴するのか
薬師堂内で鳴き龍の音を体験できるのは、拍子木を叩いたときです。特に龍の顔の真下で音を鳴らすと、その音が天井で反響し、特定の周波数が強調されて鳴き声のように聞こえます。
拍子木の音は短く鋭いものですが、その音波が天井や壁で何度も反射し融合することで、独特な残響音が生まれるのです。この現象は、一般的な楽器の音響効果に似ていますが、建築空間を利用している点が非常にユニークです。
現象が体験できる具体的ポイント
鳴き龍現象を体験するには、薬師堂の天井に描かれた龍の絵の真下に立つ必要があります。ただし、個人で鳴らすことはできません。ご住職が、龍の尻尾、胴体、そして顔の下で拍子木を打つ形で体験が行われます。
注目すべきは、龍の顔の真下でのみ音の反響が生じる点です。尻尾や胴体の下では同じようには鳴きません。この建築と音響が織りなす神秘的な現象は、日光東照宮ならではの貴重な体験です。
日光東照宮の鳴き龍、その鳴き声の仕組みを解明[まとめ]
日光東照宮の薬師堂では、「鳴き龍」と呼ばれる独特の音響現象を体験できます。
この現象は、天井に描かれた龍の顔の下で拍子木を鳴らすと、鈴の音のような特有の響きが生じるものです。この音は、「フラッターエコー」と呼ばれる音響現象によるものです。
天井の「むくり」と呼ばれる独特の構造や、音の反響を計算した建築技術が、この現象を生み出しています。
陽明門のすぐ近くにある薬師堂を訪れ、鳴き龍の音を体験しながら、天井画や薬師堂の神聖な空間にも触れてみてください。