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三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」の意味は?

日光東照宮 三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」の意味は、幼い頃は純真で影響を受けやすいため、悪いものは見たり聞いたりせず、悪い言葉を使わずに、良いものだけを与えるべきだという教えです。

この時期に良いものを身につければ、将来、悪いものに対しても正しい判断や行動ができるようになります。

また、日光東照宮の三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」は、神厩舎(しんきゅうしゃ:馬小屋)に描かれた八面猿の第二面にあたります。

この記事では、三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」だけでなく、八面猿の全16体を通して、猿の一生が描かれ、人生を象徴していることもご紹介します。

日光東照宮の三猿「見ざる言わざる聞かざる」の意味は?

日光東照宮の三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」は、悪を見ず、聞かず、言わず、自らの心と行動を清く保つという教訓を伝えています。

この教えは単なる回避ではなく、「善を選ぶ力」を養うことを促します。江戸時代の儒教の教え「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言」とも深く関連しています。

特に幼少期には、この教えが重要です。成長過程で善悪を学ぶ中で、悪影響を避けることの大切さを理解する助けになります。

「見ざる・言わざる・聞かざる」はシンプルで、子どもにも分かりやすく、人格形成の基盤を築く手助けとなります。

例えば、他人を傷つける言葉を慎む、悪い行いに加担しない、軽率な行動を控えるといった心構えを育むことができます。このように、三猿は教育的な意味を持つ文化的なシンボルです。

「八面猿」の全16体が紡ぐ「人生の物語」を徹底解説!

神厩舎(しんきゅうしゃ)神厩舎(しんきゅうしゃ)

八面猿とは何か?そのストーリーと意味

日光東照宮の三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」は広く知られていますが、実はこの彫刻は「八面猿」という一連の彫刻の第二面にあたります。

八面猿とは、神厩舎に描かれた8つの場面から構成される彫刻で、人間の一生を象徴的に描き出しています。

この八面猿は、子どもの誕生や成長、人生の試練、結婚、老いといった人間の生涯を表現しており、それぞれの場面に深い教訓が込められています。

それでは、八面猿の各場面について詳しく見ていきましょう。

三猿【一面目】母子の猿

【一面目】母子の猿

母親が手をかざして遠くを見つめる姿は、単に物理的な距離ではなく、時間的な遠く、つまり子どもの将来を見つめている様子を表しています。
その視線の先には、実をつけた枇杷の木と朱色の雲が広がっています。
枇杷の実と朱色の雲は、「実り豊かで希望に満ちた」子どもの未来を象徴しており、母親が子どもの幸福な将来を願っていることが感じられます。

子猿三匹:見ざる・言わざる・聞かざる

【二面目】子猿三匹:見ざる・言わざる・聞かざる

幼い子どもは純真で、周囲の影響を受けやすいものです。
だからこそ、悪いことを見たり聞いたりする機会を減らし、悪い言葉を使わせず、良いものだけを与えることが大切です。
この時期に良いものをたくさん吸収しておけば、将来、悪いものに出会ったときも正しく判断し、適切に行動できるようになります。

三猿【三面目】座っている猿

【三面目】座っている猿

座っている一匹の猿。まだ立ち上がってはいません。
どことなく寂しそうに見えるのは、孤独に耐えながら、これからの将来について考えているからでしょう。
やがて猿が立ち上がるとき、それは「自立」や「一人立ち」を意味し、精神的にも肉体的にも成長し、新たなステージへと進むことを示しています。

三猿【四面目】上を見る猿

【四面目】上を見る猿

二匹の猿が上を見上げています。
その姿は、希望を抱きながら未来を見つめる青年期のイメージを思わせます。
右上には青い雲が描かれており、「青雲の志」を持つ若い猿として解釈できます。
それは、「高みを目指せ、しかし自分の身の程も知れ」というメッセージを伝えているようです。

三猿【五面目】崖っぷちにたたされている猿

【五面目】崖っぷちにたたされている猿

右側の猿は樹の上で前方をじっと見つめています。一方、左側には二匹の猿が岩の上にいます。もしかすると、木から落ちた猿なのかもしれません。
そのうちの一匹は、中央にいる猿の背中にそっと手を当てています。その姿は、友達を慰めているようにも、励ましているようにも見えます。
猿たちの交流からは、仲間を思いやる温かさが感じられます。

三猿【六面目】物思いにふける猿

【六面目】物思いにふける猿

右側の猿は座り、手をお腹の前で交差させながら正面をじっと見つめています。一方、左側の猿は何かを考え、決断を迫られているように見えます。
次の場面を想像すると、右側の猿は結婚の決心を固めた姿とも解釈できます。対照的に、左側の猿はまだ心の準備ができていないのかもしれません。
二匹の猿の表情や仕草からは、人生の分岐点に立つ心の葛藤が伝わってきます。

この右側の猿は、四猿(しざる=せざる)とも言われ、禁欲を表しているとも言われています。

三猿【七面目】結婚した猿

【七面目】結婚した猿

左下には逆巻く波が描かれ、右側の根元には薔薇の花が咲いています。
右側の猿は長い左手を波に差し伸べ、左側の猿は腕を組みながら波をじっと見つめています。頭上には赤い雲が漂っています。
この情景は、二匹が共に力を合わせれば「人生の荒波」も乗り越えられることを暗示しているようです。
波や雲、薔薇のモチーフが、人生の試練とその先にある希望や愛を象徴しています。

三猿【八面目】妊娠した猿

【八面目】妊娠した猿

結婚した二匹の猿は、協力して荒波を乗り越え、平穏で安定した家庭を築きます。
やがて子宝に恵まれ、子どもが生まれると、二匹は親となり、【1枚目】のように子育てに励むことになります。

こうして命は受け継がれ、永遠に続いていくのです。猿たちの姿には、家族の絆や世代を超えた生命の循環が静かに描かれています。

日光東照宮の八面猿に込められた人間の人生観

八面猿には、私たちが人生をどう生きるべきかを問いかけるメッセージが込められています。例えば、母猿が子ども猿を優しく守る姿は親子の絆を強調し、成長の段階では仲間との協力が描かれます。

これは物理的な猿の行動を超え、人間が社会の中で成長し、調和を目指す生き方そのものを象徴しているからです。このように、八面猿の物語を通して、人生の価値や意味を考えさせられるのです。

猿が神厩舎に描かれている理由

猿は古くから馬の守護神とされ、神厩舎には馬を守るために猿の彫刻が施されています。猿は特に馬の健康を守る存在と考えられており、このため神厩舎に彫刻が飾られています。

また、陰陽五行説では、馬は火の象徴であり、猿は水の象徴とされています。火を守るために、水の象徴である猿が必要とされ、猿の彫刻が神厩舎に施される理由の一つとなっています。

神厩舎の神馬神厩舎の神馬

日光東照宮の三猿の作者は誰?

日光東照宮の三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」の彫刻は、江戸時代初期の著名な彫刻家である左甚五郎(ひだりじんごろう)によって制作されたと伝えられています。

彼は多くの有名な彫刻を手掛けた職人であり、日光東照宮の他にも日本各地でその作品が見られます。

ただし、三猿の作者については、確実な証拠がないため、左甚五郎の作品とされる一方で、実際の作者は不明であるという意見も存在します。

三猿の作者・左甚五郎に興味がある方は、こちらの記事をご覧ください。
>>日光東照宮の三猿はなぜ作られた?馬小屋に守護猿を彫った左甚五郎の謎

三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」の意味は[まとめ]

日光東照宮の三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」は、単なる彫刻にとどまらず、深い教訓を伝える存在です。

「悪を見ない」「悪を言わない」「悪を聞かない」という教えを通じて、幼少期から善悪を判断し、正しい行動を取る重要性を教えています。

この教えは、江戸時代初期に徳川家康の意向を反映して作られ、現代に至るまで多くの人々に影響を与え続けています。
日光東照宮を訪れる際は、この三猿「見ざる・言わざる・聞かざる」をぜひ見逃さず、その歴史的な価値を感じてください。