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光東照宮 鳴き龍とは?その場所と歴史、作者と伝説

鳴き龍とは、日光東照宮 陽明門のすぐ近くの薬師堂の天井に描かれた大きな龍の絵の通称です。

また、薬師堂(本地堂)は、日光東照宮の陽明門から約10メートルの場所に位置しています。

住職が龍の頭の真下で拍子木を打つと、不思議なことに龍が鳴いているような音(鈴の音)が聞こえるため、「鳴き龍」と呼ばれています。

この音は、建物内でフラッターエコーと呼ばれる音響現象が原因とされていますが、長い歴史の中で神秘的な出来事として語り継がれてきました。

>>鳴き龍のフラッターエコー現象とは?

鳴き龍がある場所:薬師堂(本地堂)とは

薬師堂(本地堂)は日光東照宮の陽明門を前にして、すぐ左側正面約10メートルの場所に位置しています。日光東照宮の境内にありますが、実は日光山輪王寺の五つある御堂の一つです。

この堂は薬師如来を本尊として祀っている御堂で、初めて建立されたのは1636年です。その後、長い歴史の中で火災や再建を繰り返してきました。特に、1963年から1968年にかけて大規模な再建工事が行われ、その後も定期的に修復作業が行われています。

一重入母屋造りの建築様式で、堂内は静寂に包まれ、天井に描かれた龍の絵が見どころとなっています。この天井画が「鳴き龍」として知られ、多くの訪問者を魅了しています。

薬師堂

右の外壁は陽明門の回廊

薬師堂[鳴き龍]の歴史と作者

薬師堂の創建と再建の歩み

薬師堂は、神道と仏教の両方と深く結びついています。日光山輪王寺の一部であり、日光東照宮の中でも特に大きな建物です。薬師堂は1636年に建てられましたが、1961年の火災後に復元され、さらに2013年に改修が行われました。

徳川家康は「東照大権現」という神道の神として信仰されています。権現とは、一対の存在を表し、仏教の神とその神道の姿を示すもので、この一対の神を水雀(すいじゃく)と呼び、仏教の神を本地(ほんじ)と呼ぶことから、本地堂と呼ばれるようになりました。

鳴き龍は誰が描いたのか?

薬師堂の天井画「鳴き龍」は、江戸時代前期を代表する画家、狩野安信(かのうやすのぶ)によって描かれました。この天井画は、武家社会における権威の象徴としての役割を果たすと同時に、当時の日本絵画の高度な技術を示すものでもあります。

1961年の火災で消失しましたが、竪山南風(かたやま なんぷう)によって忠実に復元されました。

「鳴き龍」という現象は建築の音響設計として意図的に考慮されたわけではありませんが、後に偶然発見されました。この現象が日光東照宮の見どころとなり、多くの人々を引きつけています。

鳴き龍の作者と天井画の魅力

鳴き龍[薬師堂]パンフレット「日光大観」より

鳴き龍の画風とその特長

鳴き龍として知られる天井画は、薬師堂の天井全面に描かれた巨大な龍が特徴です。狩野派独特の力強さと神秘性が表現されており、龍の鱗や躍動感あふれる身体の表現は見る者を圧倒します。

特に注目するべきは、天井という特殊な場所での構図の工夫です。どの角度から見ても迫力を保つデザインで、一貫した壮麗さを感じられるように描かれています。この巧みな構図は、狩野派の技術力の高さを物語っています。

鳴き龍の独自性

薬師堂の天井全体を覆うように描かれた巨大な龍は極めて珍しく、訪れる人々に強い印象を与えます。また、「鳴き龍」が持つ特異な音響効果、いわゆるフラッターエコー現象は、他の天井画では味わえない体験型の魅力です。

さらに、圧倒的な視覚美だけでなく、歴史的価値や音響現象も相まって、鳴き龍の魅力が一層引き立っています。日光東照宮を訪れる際に感動を呼び起こす体験の一つとして、鳴き龍は特別な存在感を放っています。

日光東照宮 鳴き龍の御朱印

鳴き龍の辰年限定御朱印2024年辰年限定御朱印

鳴き龍の御朱印2019年の御朱印

薬師堂から陽明門を望む薬師堂から陽明門を望む

日光東照宮 鳴き龍にまつわる伝説と信仰

鳴き龍にまつわる伝説は、その音響現象の面白さだけでなく、深い教訓を伝えていると考えられています。

伝説が伝える教えや意味

伝説によれば、鳴き龍の音は、家康公の霊がこの地を見守っている証とされ、訪れる人々に神秘的な体験を提供します。

代表的な教えとして、「調和」が挙げられます。拍手の音に応じて響き渡る音は、自然と人間の調和、または仏教の因果律を象徴的に表現しているとも解釈されています。

さらに、この龍は日光東照宮全体を守護する存在とされており、神聖な場所としての重みを一層引き立たせています。

信仰の対象としての鳴き龍

鳴き龍は、単なる天井画ではなく信仰の対象としても重んじられています。薬師堂に祀られている薬師如来像とともに、病気平癒や厄除けを願う参拝者にとって、鳴き龍も神聖な存在とされています。

特に龍は日本文化において水を司る神獣とされ、豊穣や繁栄を象徴する存在として崇められています。このため、薬師堂を訪れる多くの人々が鳴き龍に手を合わせ、願掛けをしています。

観光客にとっての魅力と人気の理由

鳴き龍は日光東照宮を訪れる観光客にとって、特別な見どころの一つです。その理由は、まず音響現象に隠された科学的興味深さにあります。多くの観光客が住職による実演を楽しみながら、音響の不思議を体験しています。

また、霊験あらたかなパワースポットというイメージも、この場所の人気を高める要因となっています。日光東照宮を象徴するスポットとして、鳴き龍は栃木県を訪れる観光旅行の一大ハイライトとなっています。

日光東照宮 鳴き龍とは?[まとめ]

鳴き龍は、薬師堂(本地堂)の天井に描かれた壮麗な龍の天井画で、音響現象と美しい芸術性によって多くの人々を魅了しています。

この天井画は、江戸時代の名高い絵師、狩野安信による原画を基に、竪山南風が復元したものです。

また、鳴き龍はその音響現象だけでなく、伝説や信仰とも深く結びついています。龍は古来より自然や権力の象徴とされ、薬師堂における信仰の中心的存在として尊ばれてきました。

日光東照宮の陽明門近くの薬師堂の天井画「鳴き龍」はその魅力と歴史を知ることで、訪れた際にはより深い感動を味わうことができるでしょう。