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龍宮(わだつみのみや)

江の島 江島神社】2024年7月29日参拝

青銅の鳥居をくぐり、賑やかな仲見世通りを抜けると、そこには海と歴史が息づく江島神社の境内が広がります。

江の島には、宗像三女神を祀る三つの宮—辺津宮、中津宮、奥津宮—があり、それぞれに異なる物語とご利益があります。

夏の潮風と蝉の声に包まれながら、坂道や石段を上り下りし、朱色の社殿や緑に映える門を巡る時間は、まるで神話の世界を旅するようです。

参拝の合間には、江の島シーキャンドルからの絶景や、名物しらす丼も待っています。

江島神社 青銅の鳥居から始まる

真夏の陽射しに照らされ、青銅の鳥居は深い緑青をまといながら静かに立っていました。鳥居をくぐると、そこから先は弁財天仲見世通り。両脇に並ぶ土産物店からは、干物の香りや甘いお菓子の匂いが漂ってきます。

青銅の鳥居

瑞心門(ずいしんもん)

鮮やかな朱の鳥居

緩やかな坂道を進むと、鮮やかな朱の鳥居が青空を背景にそびえています。その奥に見えるのは、訪れる人々の心を清める「瑞心門」。白壁と木組みの端正な姿が、夏の緑に映えていました。

瑞心門(ずいしんもん)弁財天童子石像

瑞心門を上がると、江島神社鎮座1450年を記念して奉献された弁財天童子石像。柔らかな微笑みをたたえるその姿は、旅人をやさしく迎え入れているようでした。

エスカーで楽々参拝

瑞心門の左手には、エスカー1区の乗り場があります。冷んやりとした空気が漂うエスカレーターに乗れば、汗ばむ坂道を歩かずに辺津宮まで一気に運んでくれます。短い乗車時間の間、壁面に描かれた鮮やかな絵が旅の高揚感をさらに引き立ててくれました。

江の島は急な坂道が多いため、楽に移動したい方にはエスカーの利用がおすすめです。なお、エスカーは1区、2区、3区の3か所があり、いずれも上り専用で下りはありません。

  • エスカー1区
    瑞心門から江島神社・辺津宮へ
  • エスカー2区
    辺津宮から中津宮へ
  • エスカー3区
    中津宮から江の島サムエル・コッキング苑の入口へ

エスカーエスカー1区

江島大明神の御朱印

江島神社 辺津宮から中津宮へ

ご祭神の宗像三女神について

江島神社の宗像三女神(ムナカタサンジョシン)は、日本神話に登場する三柱の女神で、海の安全や航海の守護、水の恵みを司る存在として古くから信仰されてきました。

三女神は、天照大神(アマテラス)と須佐之男命(スサノオ)の誓約(うけい)によって生まれました。古代から航海を行う人々に厚く信仰され、全国の港町や島々にも祭られています。

女神たちは単なる海上守護だけでなく、芸能や縁結び、美の神としての側面も持ち、訪れる人々の多様な願いを受け止めてきました。

ご祭神
辺津宮:田寸津比賣命(タギツヒメノミコト)
中津宮:市寸島比賣命(イチキシマヒメノミコト)
奥津宮:多紀理比賣命(タギリヒメノミコト)

辺津宮(へつみや)

江島神社 辺津宮

エスカーを降りると、すぐ前方に姿を現すのが江島神社の辺津宮(へつみや)です。

ご祭神は田寸津比賣命(タギツヒメノミコト)。市寸島比賣命、多紀理比賣命とともに「宗像三女神(ムナカタサンジョシン)」のひとりで、アマテラスとスサノオの誓約によって生まれたと伝えられます。

航海安全や水の恵みを司る神として古くから信仰され、さらに芸能上達や金運招福のご利益でも知られています。

奉安殿:日本三大弁財天

拝殿の前には多くの参拝客が並び、鈴の音が夏空に澄んで響きます。すぐ隣には奉安殿があり、日本三大弁財天のひとつ「八臂弁財天」(国指定重要文化財)と、艶やかな姿の「妙音弁財天」(市指定重要文化財)が祀られています。財運や芸事の神として、静かに、しかし確かな存在感で訪れる人々を見守っています。

江の島 奉安殿

エスカー2で上がりましたが、辺津宮から中津宮へは、木漏れ日の中を階段でも行けます。エスカーは上りのみですので、帰りは階段で降ります。

中津宮(なかつみや)

中津宮(なかつみや)に祀られるのは市寸島比賣命(イチキシマヒメノミコト)。こちらも宗像三女神のひとりで、美貌と縁結び、そして海上守護の女神として知られています。朱塗りの社殿は、夏の緑と青空に映え、訪れる人々の願いをそっと包み込んでいました。

江島神社 中津宮

コラム:コッキング苑と江の島シーキャンドル

サムエル・コッキング苑参拝の合間に、少し足を延ばしてサムエル・コッキング苑へ。明治時代、英国の貿易商サムエル・コッキングが築いた庭園跡で、温室の遺構や南国の植物がのびやかに育っています。入口をくぐると、花々の香りと潮風が混じり合い、境内とはまた違う開放感が広がります。

サムエル・コッキング苑

苑内のガラス張りのカフェは、光がたっぷりと差し込み、庭を眺めながらひと休みできる場所。冷たい飲み物を片手に、風の音を聞いていると、時間の流れがゆっくりと感じられます。

江の島シーキャンドル

苑内の奥には、江の島のシンボル「江の島シーキャンドル」がそびえています。展望台に上ると、足元には深い緑の島影、遠くには相模湾の青が果てしなく続きます。橋の向こうに広がる湘南の街並みまで一望でき、潮風とともに心まで晴れやかになる瞬間でした。

・高さ: 59.8 m(避雷針を含む)
・海抜: 119.6 m
・展望フロアの高さ:41.75 m(海抜 約101.6 m)
ガラス張りで設けられ、さらにその上には屋外展望台があります。展望台からは西に富士山、丹沢、南には相模湾、伊豆半島、三浦半島、そして東京スカイツリーまで望める360度の広大なパノラマが楽しめます。

江の島シーキャンドルからの眺望

江島神社の辺津宮・中津宮・奥津宮の御朱印辺津宮・中津宮・奥津宮の御朱印

江島神社 奥津宮と龍宮

奥津宮(おくつみや)

源頼朝寄進の鳥居

中津宮から石畳の坂を下り、再び緑に包まれた道を進むと、静かな石鳥居が現れます。その奥が江島神社の奥津宮(おくつみや)。かつて源頼朝が寄進したと伝わる鳥居は、『吾妻鏡』にも記され、1182年に岩屋の弁財天を勧請した歴史を今に伝えています。

奥津宮拝殿

奥津宮のご祭神は、多紀理比賣命(タギリヒメノミコト)。田寸津比賣命、市寸島比賣命とともに「宗像三女神」のひとりで、海上安全や水の神として信仰されてきました。長い航海へ向かう船人たちは、この地で航路の安全を祈ったといいます。

奥津宮拝殿アップ

拝殿の天井には「八方睨みの亀」が描かれています。江戸時代の絵師・酒井抱一の手によるもので、どこから見ても視線が合う不思議な迫力があります。陽の光が木々を透かして境内を照らすなか、その亀のまなざしは、訪れるすべての人を静かに見守っているようでした。

八方睨みの亀

龍宮(わだつみのみや)

龍宮(わだつみのみや)

奥津宮の隣には、龍宮が鎮座しています。ここは江島神社発祥の地である岩屋本宮の真上にあたり、海の神・龍宮大神が祀られています。

岩の上には、荒波を割って現れたかのような迫力ある龍の像。青空を背景に、その鋭い眼差しと躍動感ある姿が際立ちます。訪れる人々は、この龍に向かって静かに手を合わせ、海の恵みと守護に感謝を捧げていました。

龍宮(わだつみのみや)

コラム:龍恋の鐘

龍恋の鐘入り口奥津宮と龍宮を後にし、通りを挟んだ反対側に進むと「龍恋の鐘」への入り口があります。木立に囲まれた階段道は、真夏でもひんやりとした空気が漂い、木漏れ日が足元をまだらに照らしてくれます。

龍恋の鐘へ道を抜けると、視界が一気に開け、目の前に現れるのが「龍恋の鐘」。海を背に立つこの鐘は、鳴らすと恋が成就するといわれ、柵には訪れたカップルたちがかけた無数の南京錠が並びます。

南京錠をかけて永遠の愛を誓うこの場所は、映画『陽だまりの彼女』(2013)で松本潤さんと上野樹里さんも訪れ、実際に南京錠をかけたことで知られています。映画のワンシーンのようなロマンチックな雰囲気の中、波音と鐘の響きが重なり、訪れる人の心にやさしい余韻を残してくれます。

龍恋の鐘

昼食はしらす二色丼

江の島・食事処

参拝を終え、潮風に誘われるように立ち寄ったのは、海沿いの食事処。店先には新鮮な海産物が並び、窓越しに見える相模湾の青が、食欲をさらにそそります。

運ばれてきたのは、江の島名物「しらす二色丼」。透き通るような生しらすは、口に含むと海の香りとほんのりとした甘みが広がります。一方、ふっくらとした釜揚げしらすは、やわらかな塩気と温もりで心まで満たしてくれます。

味噌汁の湯気とともに、海辺の一日がゆっくりと体に沁み込んでいく——そんな、旅の締めくくりにふさわしいひとときでした。

2色しらす丼

江の島 江島神社[まとめ]

江の島の旅は、ただの参拝ではなく、島全体が神話と歴史を語りかけてくるような体験でした。

青銅の鳥居から始まり、仲見世通りの賑わいを抜け、瑞心門をくぐれば、海の女神・宗像三女神が見守る神域が広がります。辺津宮、中津宮、奥津宮を巡るたびに、神々の物語や海上守護の信仰に触れ、海と人との深いつながりを感じました。

奥津宮の天井に描かれた「八方睨みの亀」や、岩屋の真上に鎮座する龍宮の迫力は、江の島に息づく信仰の力を象徴しているようです。

参拝の合間には、サムエル・コッキング苑やシーキャンドルからの絶景、龍恋の鐘でのロマンチックなひとときも満喫。締めくくりは、江の島名物・しらす二色丼。海の恵みを味わいながら、この島がもつ多彩な魅力と、心に残る「旅の余白」を胸いっぱいに抱く一日となりました。