※本ページにはプロモーションが含まれています。

豊玉姫と妹・玉依姫豊玉姫(出典:ウィキメディア)

豊玉姫の一目惚れ

豊玉姫の侍女は、首飾りの玉がくっついた器を主人のところに持って帰りました。

豊玉姫は、器を手に取ると問いました。
「門のところに誰かいたのですか?」

「井戸のそばの桂の木の上に若い麗しい方がおりました。
その方が『水を一杯いただけないでしょうか』というので、水を入れた器をさしだしたのです。
すると、首飾りの玉を口に入れ、噛んで器に吐き出しました。
すると、このように器から取れなくなったのです。きっと、何かの神に違いありません」

不思議に思った豊玉姫は、門のところに出てみました。
すると、そこにいた山幸彦を一目見るなり、恋に落ちてしまいました。
山幸彦も、豊玉姫から視線をそらすことができません。
二人は、しばらく見つめ合っていたのです。

豊玉姫の父・綿津見神(ワタツミノカミ)

しばらくして、豊玉姫は宮殿に戻り、父・綿津見神に話しました。
「門のところに、麗しい方がいらっしゃいます」

綿津見神は門の外に出てみると、驚きました。
「この方は天つ神御子ではないか」
綿津見神は宮殿に戻りと、アシカの皮や絹の敷物を何枚も敷いて山幸彦を招き座らせました。
たくさんのご馳走も用意しました。そして、山幸彦と豊玉姫を結婚させました。

そして、山幸彦がここに住んでから、すでに3年も月日が流れていました。

山幸彦の愁いの理由

ある日、山幸彦は大きなため息をつきました。
なぜなら、ここに来た理由、兄・海幸彦の釣り針を探しに来たことを思い出したからです。
それを見たいた豊玉姫は驚いて、父に相談しました。
「今まではこんなことはなかったのですが、夫が大きなため息をして愁いているのです」

綿津見神は、山幸彦に尋ねました。
「娘に聞いたのですが、何かお悩み事でもあるのですか。そういえば、ここにいらした理由もまだ聞いていませんでした」

山幸彦は、兄の釣り針を探しに来たことなど詳しく語りました。
すると、綿津見神は小さな魚から大きな魚まで、魚という魚はすべて集めて問いました。

「だれか、釣り針を知っている魚はいるか?」

魚たちが答えました。
「この頃、タイがのどに骨のようなものが刺さって、ものが食べられなくなり困っています。
きっと、それが探している釣り針ではないでしょうか?」

さっそく、綿津見神はそのタイを呼んで、のどを調べると、確かに釣り針が刺さっています。
さっそく、釣り針を取り出し、洗い清めると山幸彦に差し出しました。