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多遅摩毛理の常世国の木の実

円野比売命の自害(マトノヒメノミコト)

第11代垂仁天皇は、なき沙本比売(サホビメ)の遺言の通り、新しい妃を迎えることになりました。沙本比売の従姉妹にあたる4人の娘たちです。

比婆須比売命(ヒバスヒメノミコト)と弟比売命(オトヒメノミコト)
歌凝比売命(ウタコリヒメノミコト)と円野比売命(別名、真砥野比売命)

ところが、歌凝比売命と円野比売命はたいそう容姿が醜かったために、実家に返されてしまいました。

「同じ女性の中にあって、姿が醜いという理由で帰されたことが近所で噂になると、とても恥ずかしいことです」

円野比売命は山代国の相楽(京都相楽郡)に着くと、木の枝で首を吊って死のうとしました。そこで、この地を懸木(今は相楽)というようになりました。
そして、彼女は弟国(京都府乙訓郡)に着くと、深い淵に落ちて死にました。
そこで、そこの地を名付けて堕国と言います。

邇邇芸命(ニニギノミコト)に帰された木花佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)の姉・石長比売(イワナガヒメ)を想い出させる話ではないでしょうか。

多遅摩毛理と常世国の木の実

第11代垂仁天皇は、多遅摩毛理(タジマモリ)を常世の国に派遣して、非時香木実(ときじくのかくのこのみ)を取ってくるよう命じました。
非時香木実は、一年中とれる香りの良い木の実で、不老不死の食べ物です。天皇は、永遠の命を求められたのです。

しかし、多遅摩毛理が木の枝についた木の実と木の実だけをつなげたものを持ち帰る前に、垂仁天皇は崩御されました。多遅摩毛理は持ち帰った木の実の半分を妃に献上しました。そして、木の実の半分を御陵の入り口の戸に備えました。

「常世国の非時香木実を持って帰りました」
そう叫ぶと、多遅摩毛理は死んだそうです。

ところで、非時香木実とは、の実です。今でいう柑橘類の総称です。