出雲大社のオオクニヌシの像
スサノオの試練は続く。
スサノオの試練3 鳴鏑(なりかぶら)
スサノオは鏑のついた矢を野原に射こむと、オオナムヂに探させます。
そして、野原の周りに火をつけます。逃げ道はありません。このままでは、オオナムヂは焼き殺されてしまいます。
今度こそは、オオナムヂ絶体絶命のピンチ!
と思いきや、ここに一匹のネズミが現れ、
「下に空間があるから」と言って、地面を踏みつける動作をします。
オオナムヂはネズミを信じ、地面を踏みつけます。
すると穴が開いて、オオナムヂはその穴に落ちます。
その上を、火は燃えながら通り過ぎました。
命拾いをしてホッとしていると、なんとネズミが鳴鏑の矢をくわえていました。
スサノオとスセリヒメは焼け野原を見渡し、オオナムヂの姿がないので焼け死んだと思いました。
スセリビメは泣きながら、家に葬式の道具をとりに戻り、ふたたび野原に戻ってきました。
すると、そこにはオオナムヂが鳴鏑の矢を持って、笑って立っているではありませんか。
スセリビメは大喜びです。
しかし、スサノオは「う〜む、なかなかやるな!」と思いましたが、さらなる試練を与えることにしました。
スサノオの試練4 スサノオの頭のシラミ取り
オオナムヂ、スセリビメ、スサノオは館に戻りました。
スサノオは部屋に入るなり、オオナムヂに自分の頭のシラミを取るよう命じました。
スサノオの頭をよく見ると、シラミではなくムカデがうごめいています。
オオナムヂは、「どうしたものか…」と腕を組んで考えます。
今度もまた、スセリビメが椋(むく)の木の実と赤土を渡し、助け舟を出します。
「椋の実をプチプチ音を立てながら噛んで、赤土を含み、
つばと一緒に吐き出しなさい。
そうすれば、父はムカデをかみ殺していると勘違いします」
オオナムヂは言われたとおりにします。
すると、スサノオは「素直な良い奴だ!」と思い安心して眠ってしまいました。
「今だ!」
オオナムヂはこの機会を待っていたのです。
スサノオの髪を柱に縛り付け身動きできないようにすると、部屋の入り口を大きな石でふさぎました。
スセリビメを背負うと、両手で生太刀(いくたち)、生弓矢(いくゆみや)、天の沼琴(あめのぬこと)を持ち、一目散に逃げ出しました。
あまりに急いだので、木の枝に琴の弦が触れて「ガラ〜ン」と音を立てます。
この音に大地も揺れ、スサノオが目を覚ましてしまいました。
が、柱に髪が縛り付けられているので、すぐに立つことができません。
スサノオは頭を大きく振り、勢い余って館が倒れてしまいました。
しかし、髪は柱からなかなか解けません。
オオナムヂ「オオクニヌシ」となる。
その間に、オオナムヂとスセリビメは黄泉の国との境、黄泉比良坂(よもつひらさか)を通り過ぎていました。
遅れて黄泉比良坂間でやってきたスサノオは、大きな声で二人に叫びました。
「オオナムヂ、その生太刀と生弓矢で八十神の兄たちをやっつけろ。
以後、オオクニヌシ(大国主神)と名のり、
スセリビメを正妻にし、出雲の山に地底の石を太い柱にし、
天高く壮大な宮殿を立てよ。良いな、小わっぱ」
オオナムヂはオオクニヌシとなって、スサノオに命じられた通り、八十神を倒し、国づくりを始めます。